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[サンフランシスコ発アメリカ子育て・教育事情]
日本よりも深刻な、アメリカの教育格差

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存知のように、アメリカはMelting Pot(人種のるつぼ)。特に私の住んでいるカリフォルニア州は特に移民の多い、多民族・多文化の州として知られています。大まかに言うと、白人が約44%、続いてスペイン語を話すいわゆるヒスパニック(ラテンアメリカン)が約34%、以下、アジアン(約12%)、黒人と続きます。中でも、ヒスパニック系とアジア系の人口は年々、増加し続けています。
これだけの多民族が同じ土地で暮らしているということは、当然教育現場にも大きな影響を及ぼしています。2006 年にUC(カリフォルニア大学)に入学を許されたアジア系アメリカ人の割合は、初めて白人を抜いて人種別で最多になりました。
私が住んでいる、サンフランシスコのお隣バークレー市には、UCバークレーという全米でも屈指の大学がありますが、学校の構内を歩いているとそれを肌で実感します。すれ違う学生たちの半分以上はアジア系。人口構成もさることながら、概してアジアンの親たちは教育熱心ということも影響しているようです。



かしその一方で、いわゆる“ 不法滞在” をしている人たちも多く存在します。主に中南米のスペイン語圏からアメリカに来ているラティーノです。
英語をうまく話せず社会的にも立場の弱い彼らのアメリカでの生活は苦しく、結果としてその子どもたちは十分な教育を受けられずにますます落ちこぼれていく・・という悪循環を生んでいます。
アメリカでは公立学校の質がいい土地はそれに比例して地価が高くなっていきます。つまり「お金持ちは環境のいい教育設備の整った街に住み、その子どもたちは質のいい学校で高い教養を身につけ、いい職を得てお金持ちになる。お金のない家庭の子どもたちはいい教育を受けられずに職にあぶれ貧乏になる」この貧困の再生産が、移民国家ならではのアメリカの抱える大きな問題点です。
日本でも昨今、所得格差による学力の二極化が叫ばれていますが、アメリカでは“ 移民” という社会の土台そのものが教育格差の要因であるため、事態はより深刻だといえるでしょう。



ころで先日、そんな劣悪な教育環境から子どもたちに救いの手をさしのべているボランティア団体の活動を見る機会がありました。サンフランシスコにある“ カストロ・シニア・センター” というリタイアしたお年寄りたちのグループが、満足に学校に通えない貧しい子どもたちを施設に呼んで、一緒にポエムを作ってその作品をみんなの前で発表するというものです。
英語のボキャブラリーを増やすのはもちろんのこと、声を出して朗読することによって子どもたちの英語に対するコンプレックスを取り除き、豊かな表現力を身につけさせるすばらしい取り組みでした。
9 歳から92 歳まで(!)という人たちが、一緒に何日もかけて作り上げた力作の朗読には、聞いているこちらも思わずほろりとさせられました。また、わが子の発表を見に来ていた親たちのうれしそうで誇らしげな表情もとても印象的でした。



本では、ボランティアというと若い人たち中心の活動のように思いがちですが、アメリカではむしろシニアが積極的。このような経験豊かなシニアと子どもたちを結びつけたプログラムには見習う点がたくさんあるように思います。
教育の格差は新たな貧困の格差を生み、社会のひずみやねじれとなって連鎖します。こういった取り組みが世界に広がり少しでも教育格差が取り除かれていけば、世の中はより温かく、平和になっていくかもしれませんね。

What happens to a dream that's trashed?
Does it wilt and die like a dead flower?
Or does it go underground like a locust,
to spring out in seven years
To shout --
" Here I Am! Give me a second chance!"

捨て去られてしまった夢は、いったいどうなるのかしら?
枯れてしまった花のように、しおれて死んでしまうの?
それとも、セミのように地面にもぐり、7年経ったら外に飛び出してこう叫ぶの?
「ここにいるわよ!もう一回チャンスをちょうだい!」
(子どもたちのポエムより)



※このコーナーでは、アメリカ( 主にカリフォルニア中心) の身近な子育てや教育事情をレポートしていく予定です。今後取り上げてほしいテーマやご意見などがありましたら、どしどしお寄せください。

長野尚子(ながのしょうこ)さん

長野尚子(ながのしょうこ)
カリフォルニア州バークレー市在住。フリーライター。
2001 年、大手出版社のディレクターを退職後、単身アメリカへ留学。その後雑誌の編集者を経て、結婚を機に2006 年3月より再び渡米。主に教育・子育て、文化交流をテーマに人脈を広げながら執筆活動中。3年間の留学生活を綴った「たのもう、アメリカ。 」(近代文芸社)発売中。


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